2026年1月8日、金融庁が主催する金融審議会から、「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」報告書が公表されました。本報告書は、2025年3月に公表されたSSBJサステナビリティ開示基準(以下、SSBJ基準)について、同基準に準拠した法定開示および第三者保証のあり方を整理・検討したものです。本報告書では、プライム市場上場企業を対象とし、時価総額の大きな企業から段階的に、SSBJ基準に準拠した有価証券報告書の作成を求める方向性が示されました。具体的には、以下の適用開始時期が整理されています。

・時価総額3兆円以上企業:2027年3月期適用開始

・時価総額3兆円未満1兆円以上企業:2028年3月期適用開始

・時価総額1兆円未満5千億円以上企業:2029年3月期適用開始

   また、同基準の適用義務化開始時期の翌年から、第三者保証を受けることを義務化する方向性も示されました。

   SSBJ基準では、策定済の一般開示基準並びに気候関連開示基準に加え、今後、人的資本や生物多様性に関する開示基準の開発も予定されており、対象企業は、ESGに関する幅広いトピックを取り扱う必要があります。また各トピックで扱う範囲も拡大しています。例えば、スコープ3排出量の算定では、サプライヤーや製品使用・廃棄など、自社グループに留まらず、バリューチェーン全体におけるデータ及び情報の収集が必要となります。さらに2年間の経過措置後は、ESG情報と財務情報の同時開示が原則となり、第三者保証の義務化が決定しています(当初2年間の保証範囲は、スコープ1・2排出量、ガバナンス及びリスク管理に限定。)。

  こうした一連の動きは、情報収集から開示までのプロセスにおける効率性、正確性及び透明性の確保に関する要求を飛躍的に高め、対象企業にとって膨大な手間となることが容易に想定されます。この様な背景から、これまでエクセルなどを用い人海戦術でサステナビリティ情報の収集及び開示を行っていた企業においても、SaaSを中心とするESGプラットフォームの導入・検討が進んでいます。

   SSBJ基準への対応は、従来の自主的なサステナビリティ報告とは大きく異なり、社内外の様々なステークホルダーの関与を前提とするものです。そのため、従来業務の延長で対応することは非常に困難であると言わざるを得ません。そうした背景から、現在、国内外の様々なベンダーがESGプラットフォームを提供しています。各々異なる特徴を持っているため、自社の現状・目的・用途にあったツールを選定することが重要となります。

   以下に、ESGプラットフォーム選定ポイントの一部を例示します[1]

対応可能な開示基準:

   CSRD、ISSB/SSBJ、EUタクソノミなど、義務的開示基準への対応可否。GRI、CDP、GRESBなど自主的開示基準への対応可否

ユーザーインターフェース:

   ユーザーの利用を促進するような使いやすさ、対応可能な言語数

データ収集/アーキテクチャ:

   社内データや外部データ取得におけるAI活用、サプライヤーデータ収集を容易にするための工夫や、データ収集から開示まで単一プラットフォームでの対応

入力データ品質管理:

   入力データ欠落や不正確なデータ検出・特定方法、一次データが入手できない場合のデータ推定機能

データマネジメント:

   データプライバシー、セキュリティ、データ管理。XBRLタグ付け対応

コンフィギュラビリティ:

   ユーザーによる環境設定や独自の測定メトリクス等の設定・変更可能性

組織構造:

   物理的資産単位、法人単位、地域単位など必要となる報告要件への対応可能性、買収や売却、組織再編などの際の対応力

ビジネスインテリジェンス/分析:

   ダッシュボードの機能と種類及びユーザー自身によるダッシュボード設定機能の有無

パフォーマンス管理:

   組織の各階層におけるサステナビリティ目標の設定及び進捗管理機能

ベンチマーキング:

   社内ベンチマーキング(サイト間やサプライヤー間におけるパフォーマンス比較)及び社外ベンチマーク(同業他社や業界平均との比較)機能

監査可能性:

   データ収集から開示に至るワークフローや承認プロセス明確化による、追跡性および監査可能力

   ERM日本では、ESGプラットフォームを提供するグローバルでの主要なベンダー群に加え、複数の国内ベンダーの中から、企業の現状・目的・用途に適合したESGプラットフォームを選定するベンダーセレクションサービスを行っております。またプラットフォーム決定後には、ESGの専門知識を活かし、設計、コンフィグレーション、実装を行い、さらにユーザーによる新システムの利用を促すチェンジマネジメントサービスにより、顧客のスムーズなシステム導入を支援いたします。

[1][1] Verdantix Green Quadrant: ESG & Sustainability Reporting Software (2025) を参考に作成

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