2026年 2月 16日
北海道の洋上風力発電に係る経済波及効果および北日本広域サプライチェーンの展望に関する報告書を公表
- 北海道は、洋上風力開発において国内随一のポテンシャルを有し、道内の複数海域で開発が進展する中、サプライチェーンの形成や人材育成を通じて地域全体の産業基盤整備が進められている。
- ERM日本とOcean Energy Pathwayが実施した経済波及効果分析によれば、適切な施策と投資戦略の下で、北海道の洋上風力発電事業は道内で約6,412億円の経済波及効果と約44,954人の雇用創出が見込まれる。さらに、浮体式の導入拡大やO&M分野への地元参入強化などにより道内自給率が高まれば、その効果は約2兆1,229億円・約124,390人規模へと拡大し得る。
- また、本調査では、北日本1道7県を対象として25件以上のヒアリングを行い、地域の産業構造、政策動向、サプライチェーンの課題と可能性を整理した。その結果、北日本地域が一体となった連携と協力を強化することは、洋上風力のサプライチェーンを持続可能な形で発展させるために不可欠であることが明らかとなった。
本日、ERM(日本法人は、イー・アール・エム日本株式会社)とOcean Energy Pathway(OEP)は、北海道における洋上風力経済波及効果および北日本での広域連携に関する調査報告書を公表しました。
本調査では、まず北海道を対象に道内で開発・運転中の8事業(約6.4GW)について産業連関分析を実施し、経済波及効果と雇用誘発を以下の2つのシナリオを設定し推計しました。
- 現状で可能:北海道の現行サプライチェーン能力を考慮した達成可能な道内自給率に基づく推定値。サプライチェーンにおける大規模な変化、並びに投資拡大は想定していない。
- 潜在的に可能:地元サプライヤーによる実現可能な追加の取り組みと投資を通じて達成が期待される、将来的に実現可能と見込まれる道内自給率に基づく推定値。
「現状で可能」では約6,412億円の経済波及効果、約44,954人の雇用誘発という結果になりました。一方、「潜在的に可能」では約2兆1,229億円、約124,390人と、地元調達・O&M参入・浮体式基礎の道内製造等によるサプライチェーン強化により、大幅に経済効果が拡大することが確認されました。
加えて、北日本(北海道・東北6県・新潟)の産業構造や政策動向、連携の在り方を整理し、行政・産業界・地域社会の協働による広域的なサプライチェーン形成の重要性を示しました。とりわけ、県境を越えたクラスターの形成、O&M拠点のネットワーク化、港湾・人材・金融の連携強化は、地域の持続可能な産業発展に資するもと考えられます。
本調査結果は、北海道および北日本が日本の洋上風力の発展を力強く牽引する可能性を秘めていることを示すとともに、北日本全体でのサプライチェーンの構築が、持続的な経済成長と雇用創出の実現に不可欠であることを示唆しています。
評価結果と提言
北海道の既存計画は「現状で可能」な範囲でも大きな価値を生みますが、より大きな波及効果を実現するには長期的かつ包括的な取り組みが求められます。また、北日本全体では数兆円規模の経済波及効果が期待される一方、サプライチェーンが案件単位で断片化しているため、広域的な産業戦略が重要となります。
この調査の結果に基づいた5つの提言は以下の通りです:
- 日本全体の洋上風力関連産業の強みを把握し、北日本の洋上風力サプライチェーン開発の方向性を定める
- 北日本における洋上風力産業の発展に向け、地域産業クラスター形成・育成を推進する
- 個々の洋上風力発電所とどめず、長期的な地域産業の発展に重点を置く
- プロジェクト周辺地域への経済波及効果拡大を目指す
- 利害関係者間の連携によるリスク管理を通じて、プロジェクトを成功に導く
ERMコンサルティングパートナー 柴田隆之
“本調査では、都道府県間の連携強化が、北日本での洋上風力の恩恵を最大限に引き出すために不可欠であることを示している。こうした協力により、北日本は国内およびアジア太平洋地域全体の洋上風力サプライチェーンにおいて中心的役割を果たすことができるだろう。”
Ocean Energy Pathway 日本担当 シニア・プロジェクト・アソシエイト
オマール・アンドラ―デ氏
“今回の調査により、洋上風力は北日本にとって非常に重要な機会であることが明確に示された。洋上風力はエネルギー安全保障を高めるだけでなく、地域経済の活性化への貢献が大きく期待される。”
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Ocean Energy Pathway のプレスリリースはこちら:
https://oceanenergypathway.org/insights/socioeconomic-opportunity-offshore-wind-hokkaido/
報告書はこちら:
日本語版
英語版
Powering the Offshore Wind Future in Northern Japan - Opportunities and Recommendations
PDFはこちら
ERMについて
ERMは世界最大のサステナビリティを専門とするコンサルティングファームとして、戦略的支援と技術提供能力を独自に組み合わせたサービスを展開し、持続可能な事業の実現を支援しています。ERMは、発電事業者、投資家、行政、非営利団体、大規模なエネルギー消費者など、エネルギー転換の中心にいるクライアントに対し幅広いサービスを提供しています。またERMは、主要な再生可能エネルギー技術において数千のプロジェクトを手掛けた実績を有しており、再生可能エネルギーの発電、消費、投資、またはその全てのステークホルダーとしてクライアントが、迅速かつ柔軟に対応できるよう、豊富な専門知識でサポートを実現します。
OEPについて
Ocean Energy Pathway は、エネルギー転換の推進、海洋生態系の保全・強化、ならびに地域社会の持続的な発展を目的としたプログラムを通じて、世界の洋上風力発電の導入と成長加速の支援を行っている。各国政府および主要な意思決定者に対し、専門的かつ独立した立場からの知見と支援を提供し、洋上風力発電の円滑かつ迅速な展開に取り組んでいる。また、政策、産業、自然保全分野の関係機関・有識者との連携を通じて、洋上風力発電の中長期的な成長を見据えた持続可能な制度や施策形成の支援を提供している。さらに、Climate Policy Radarとの協力のもと、洋上風力発電に関する政策や調査報告書を効率的に参照できる「POWERライブラリー」も運営している。Ocean Energy Pathwayは英国に本部を置き、オーストラリア、ブラジル、コロンビア、インド、日本、メキシコ、フィリピン、韓国、ベトナムにおいて継続的なプロジェクトを実施している。
ERM
Japan Energy Team ermjapanenergy@erm.com
Ocean Energy Pathway
Navneet Khinda media@oceanenergypathway.org